| THE INTERNATIONAL CENTRE FOR THE STUDY OF EAST ASIAN DEVELOPMENT |
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〈ワーキング・ペーパー〉 ICSEAD Working Paper Series 2010 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1997-1998 Note) The ICSEAD Working Paper Series include papers in Japanese.
Vol. 2010-12
本稿は,製造業分野の日本多国籍企業による対アジア直接投資の投資先決定要因について分析するものである。既存文献では,投資受入国の経済規模と労働関連費用(生産性と労働力の質を考慮したもの),および日系企業の集積度が日本企業の立地選択に影響を与える最も重要な要因とされるが,他の多くの要因も影響している可能性があることを示す証拠もある。本研究では,こうした関連する多くの項目からなる投資先の魅力度を示すインデックスを考案した。これに基づき,アジアの11 ヵ国・地域について,日本製造業企業からみた投資先としての魅力度をランキングした基準インデックスを作成し,また項目間のウェイト付けを変えた11 種類の異なるシナリオを作成した。基準インデックスと11 の代替シナリオのうちの9 つでは,分析対象のアジア11 ヵ国・地域は,魅力度の高さに応じて3 つのグループに判然と区分された。即ち,最も魅力度の高い3 ヵ国・地域(中国,シンガポール,香港),中程度に魅力的な5 ヵ国・地域(マレーシア,台湾,韓国,タイ,インドネシア),および魅力度の低い3 ヵ国・地域(インド,ベトナム,フィリピン)である。各グループ内での順位は,シナリオごとに多少変わってくる。このインデックスを用いたアプローチは,投資先決定に影響する可能性のある多くの要因を同時に考慮でき,また他の実証的方法に比べ,投資する企業ごとに重視する要因が異なることの影響をより詳細に検討出来るので,既存の経済学的研究を補完する重要な手段となる。
Vol. 2010-11
North Korea is on the brink with both its leader Kim Jong-Il’s health deteriorating and its economic function faltering. Amid reports that China, North Korea’s chief ally, is preparing a contingency plan on the basis that isolated North may collapse, North Korea executed its senior economic technocrat Park Nam-Ki on March 12 over a botched currency re-denomination that fueled social tension. In addition there has been yet intense speculation about the North’s torpedo attack probability- as well as a host of internet conspiracy theories- to the mysterious explosion of the South’s navy 1,200-ton corvette Cheonan on March 26 near the disputed Yellow Sea border. A wild wind is beginning to swirl on the landscape possibly bringing forth either implosion or explosion. This paper looks into both possibility of a sudden “big bang in North Korea” and would-be policy options to be taken by Koreans amid conflicting stakes among neighboring nations.
Vol. 2010-10
インドネシアは人口2億を超える大国であるものの,その多くが農村人口であり,所得格差問題は非常に重要であると思われる。そこで,インドネシアの所得格差について,2005年の社会会計行列表をもとにした応用一般均衡モデル(CGEモデル)を構築し,各種シミュレーションによる所得格差への影響を考察する。いくつかのシナリオを比較した結果,政府の補助金による移転政策が有効であることが判明したが,格差の改善効果は乏しく,この政策を用いても格差を大きく改善させることは難しいと思われる。
Vol. 2010-09
本研究は,中国の鉄道O-D表を用いて省レベルの物流動向を分析する。中国の省間格差問題を分析する経済モデルを開発する上でも省と省とを結ぶ物流動向を把握することは重要であるが,これを補足する唯一の公開された資料が『中国交通年鑑』に毎年掲載されている鉄道O-D表である。本研究では,この表の情報をもとに省間物流の動向を分析するが,その際,物流の省別シェアを計算したうえで,その変化を分析する手法を採用する。また,将来分布を計測するにあたっては,マルコフ連鎖に代表される確率モデルを用いた分析も試みている。さらに本研究では,シェアの変化について簡単な指標を提唱し,これに基づく分析を行っている。そして分析の結果,省間移動の動向が緩やかに変化している点,将来の収束分布がどの時点をスタートにとっても大きく変化しない点などが明らかとなった。このことから,物流面,特に鉄道輸送を通じての中国の省間格差対策は難しいと思われる。
Vol. 2010-08
本稿では,近年(特に世界金融危機以降)の中国の投資環境の変化,および,それに伴う対中直接投資の動向を考察した。主な結論は次のように要約できる。(1)2008年1月から外資優遇税制が廃止されたことによって,従来と比べ外資系製造業企業の税コストはかなり増加した。ただし,もともと外資優遇税制の適用対象ではなかったサービス企業および新しい優遇税制の適用対象となるハイテク産業・環境保護関連産業などに属する外資企業にとっては,むしろプラスの影響が大きい。(2)2005年以降,中国の対外輸出と経常黒字の急増を背景に,輸出企業の税金還付制度が見直された。税金還付率の引き下げによって,中国を生産拠点として海外市場向けの製品を生産する企業にとっては,輸出のコスト負担がかなり上昇した。2008〜2009年に,世界金融危機による輸出企業への打撃を緩和するために,税金還付率の引き上げが数回実施されたが,今後,税金還付率の引き下げと引き上げが繰り返して行われる可能性がある。(3)2008年1月から労働者の権利を強化する新『労働契約法』が実施された。また,「西部大開発」戦略の推進に伴う内陸地域の雇用機会の増加などの要因により,一部の沿海省では,「民工荒」(現場労働力不足)の現象が起こっている。こうした変化は,日系企業を含む外資企業の労働コストの上昇をもたらしている。(4)急速な経済成長によって,中国は世界第三経済大国に躍進している。税コスト・労働コストの上昇・人民元高などにより,輸出指向の製造業企業にとっては中国の投資環境が若干悪化しているが,中国国内市場を狙う外資系企業にとっては,中国の投資環境の魅力が逆に増大している。投資環境の変化に伴い,対中投資総額における製造業のシェアが下がっているのに対して,非製造業セクターへの投資シェアは上昇しつつある。(5)外国対中直接投資の8割以上は,東部沿海地域に集中している。しかし,中国政府は内陸を重視する地域開発戦略を推進しており,中・西部への外国投資を奨励している。今後,製造業を中心に,対中投資は徐々に沿海から内陸にシフトする可能性がある。
Vol. 2010-07
本稿では,1970年代後半以降の中国の地域開発戦略の推移を考察した上,最新の統計データと複数の測定方法を用いて,1978年〜2008年の中国の地域間所得格差の動向ならび「西部大開発」戦略の効果を検証した。主な分析結果は次のように要約できる。(1)1970年代後半以降,中国の地域間所得格差は,1978年〜1990年代初めの縮小,1990年代初め〜2003年頃の顕著な拡大,そして2003年以降の緩やかな縮小,など3つの時期を経験した。(2)中国の地域間所得格差は,東部内格差,中部内格差,西部内格差,および3地域間格差,など4つの格差に分解できるが,主に東部内格差と3地域間格差の動向に左右されている。1978〜2008年の全期間を見通して,中国の地域間格差全体はやや縮小したものの,3地域間格差は大きく拡大しており,縮小しつつある東部内格差に代わって中国の地域格差に寄与する最大成分となっている。 (3)1978年〜1990年代初めの中国の地域間所得格差の縮小は,主に東部の中所得諸省(広東省,江蘇省,浙江省,福建省など)における改革開放の先行と経済発展の成功による東部内格差の縮小の成果である。1990年代初め〜2003年頃の顕著な格差拡大は,上海など高所得地域をはじめとする東部全体の改革開放の推進と高成長の持続による3地域間(東部と中部・西部)格差の著しい拡大の結果である。一方,2003年ごろ以降の緩やかな格差縮小は,東部内格差の持続的な縮小と3地域間格差の縮小の両方による結果であり,2000年ごろから実施された西部大開発戦略による格差縮小効果が2003年以降に現れ始めていることを示唆している。
Vol. 2010-06
本稿は,台湾における創業・新事業創出支援体制を分析し,その特色と課題を明らかにすることを目的する。具体的には,台湾に多数存在するインキュベーションセンター(創新育成センター)とベンチャーキャピタルの活動を取り上げ,さらに政府系研究開発機関の工業技術研究院(ITRI)の役割に注目する。台湾に関しては,ハイテク企業の拠点として新竹等の科学工業園区の存在がしばしば言及されるが,それ以外にも,大学等付属の育成センターが台湾全土に100ヵ所以上存在する。そこでは,新規ベンチャー企業だけでなく,技術・経営改善を目指す既存中小企業等も支援対象とし様々なサービスを提供している。加えて,ベンチャーキャピタルの活動も盛んである。1990年代後半にハイテク産業の発展に大きな貢献を行い自らも急成長した当該業界は,2001年以降は勢いを減じたものの,最近に至るまで200社近いベンチャーキャピタル会社が営業し,ハイテクベンチャーの株式上場で,依然,重要な役割を果たしている。このように台湾では,大学・研究機関,その付属の育成センター,およびベンチャーキャピタルという関連アクターの濃密な集積がみられるが,その中核を成すのがITRIである。即ち,ITRIは,独自のベンチャー・新事業育成施設である開放実験室/創業育成センターとベンチャーキャピタル子会社の創新工業技術移転股?有限公司(ITIC)を擁し,本業である産業技術の研究開発と合わせ,三位一体で台湾の創業・新事業創出支援体制をリードしてきた。こうした体制で,情報処理,半導体等のリーディング産業の立上げと育成に相当の成果を収めてきた台湾だが,今後「アジアの創業センター」の地位を目指すには,ハイテクベンチャー活動でも次第に存在感を増す中国大陸との競合,育成センターのサービスと収益性の向上,ベンチャーキャピタルの資金源と投資先のさらなる開拓,そのための新産業の継続的立上げ,ハイテク産業以外の産業の底上げ等,重要な課題もある。
Vol. 2010-05
This paper investigates the determinants of the regional distribution of Japan’s MNCs in Asian manufacturing. Based on a previous literature review, which suggests that host economy size, labor costs (adjusted to account for the influences of productivity and labor quality), and agglomeration of Japanese investors were among the most important factors influencing the locations chosen by Japanese MNCs, while evidence regarding a wide range of other potential determinants was more mixed, it constructs index of investment attractiveness from a large number of relevant components. It then uses the index to rank 11 larger Asian hosts to Japan’s manufacturing MNCs in a baseline and 11 alternative scenarios. The baseline and eight of 10 alternative scenarios revealed three distinct groups of host economies, three most favorable (China, Singapore, Hong Kong), five intermediate (Malaysia, Taiwan, Korea, Thailand, Indonesia), and three least favorable (India, Vietnam, Philippines) locations. Rankings of the economies within each group differed somewhat depending on the scenario considered, however. This index approach is an important supplement to the existing literature because it allows one to simultaneously examine the influence of a larger number of potential determinants and to explicitly consider investor heterogeneity in greater detail than many other empirical methodologies.
Vol. 2010-04
This paper first examines trends in the shares of foreign-owned multinational corporations (MNCs) in the manufacturing industries of eight relatively large Asian larger economies, Japan, Hong Kong, China, Singapore, Malaysia, Thailand, Indonesia, and Vietnam. It focuses on four periods of economic slowdown surrounding 1985, 1998, 2001, and 2009 but finds no clear, consistent trends in MNC shares during these periods. Likewise, the paper also compares trends in performance differentials between MNCs and local firms or plants. MNCs do tend to be larger, have higher productivity, wages, and export propensities, but it seems very difficult to attribute trends in these differentials to cyclical factors, such as economic downturns, rather than other medium- to long-term factors that also influence investment and production decisions in MNCs and other Asian firms.
Vol. 2010-03
This paper analyzes trends in foreign direct investment (FDI) by multinational corporations (MNCs) investing in and out of Asia in the years surrounding three major, recent economic downturns. It first finds that FDI flows, both inward and outward, generally continued upward trends during periods of crisis. Relatively large increases in inward stocks were observed for inward investors in most hosts (11 of 14) during the Asian financial crisis surrounding 1998, and were also observed in about half (6-7) of these economies surrounding subsequent downturns in 2001 and 2009. For outward flows, relatively large increases were observed in only about one third of the economies during all three downturns. Second relatively strong, negative (-0.5 or less) correlations between trends in cumulative FDI-GDP ratios and economic growth were common among inward investors in 1996-2000 and both inward and outward investors in 2007-2009. On the other hand, positive correlations were not very common. There is thus some evidence that MNCs have tended to increase their FDI stocks relatively rapidly during periods of economic downturn. This pattern is consistent with the view that MNCs are often better able to take advantage of buying opportunities that emerge during downturns than other firms, partially because they tend to be relatively large and are able to access capital relatively easily. On the other hand, there is a tendency for relatively high FDI growth to be concentrated in the same host and home economies, suggesting that country-specific factors may be relatively important determinants of FDI growth.
Vol. 2010-02
近年,中国において留学帰国者によるベンチャー企業の設立がブームとなっている。ICT,バイオ・医療,新素材,光学,新エネルギー等多くのハイテク産業分野で留学生企業が続々と誕生し,その数は全国で数千件以上に達する。こうした留学生ベンチャーの大半は成長途上にある無名の企業であるが,国内外で認知されたスター企業も少なからず登場してきている。一方,こうしたベンチャー企業の支援を通じた産業振興は,中央政府ばかりでなく地方政府にとっても重要な課題である。留学帰国者による起業への支援に特化した「留学生園区」も各地に建設され,起業家に対する各種の支援策が講じられているが,成果の度合いは様々である。本稿の課題は,地方政府によるベンチャー企業の支援が効果的になるために如何にすべきかを考察することである。このために,先ず,留学帰国者による創業ブームの背景と実情を概観する。さらに,長江デルタ地域に位置する無錫市で創業し,僅か数年のうちに太陽電池関連メーカーとして世界有数の地位に躍進したSuntech Power社(無錫尚徳太陽能電力)の事例を取上げ,その成長過程と無錫市政府による支援の詳細を明らかにする。無錫市政府のSuntechに対する支援は,慎重な誘致対象候補者の選定に始まり,事業スペースの安価な提供や補助金・税制上の優遇のみならず,資金調達,人事・経営,企業PR等,企業成長の各段階で必要とされるサポートを柔軟かつ実際的な形で提供するもので,大きな成果を上げたと考えられる。この事例分析から,リスクが大きくリターンがすぐには見込めない新産業の育成においては,地方政府は様々な側面で重要な役割を果たし得ること,グローバル経済時代における地域振興のためには,創造力とチャレンジ精神を持つ技術者・起業希望者の誘致と支援に地域の官民を挙げて取組むべきこと,支援を効果的に実施するためには,地方政府にも専門知識を持つ担当官が必要であること等の示唆が提示される。
Vol. 2010-01
本稿では,九州の主要産業の1つである半導体産業を例にとり,ベンチャー・中小企業の連携促進の動きを分析する。ここで取り上げるのは,北九州学術研究都市の「ひびきの半導体ベンチャーサークル」,九州半導体イノベーション協議会によるSIIQ DIRECT,および福岡システムLSI総合開発センターが推進する設計試作支援事業の3つの事例である。参加する企業数の規模や行政との関わり方等で各々タイプが異なるが,官民の協力によりベンチャー・中小企業の連携を直接間接に促し,地方圏である九州での企業の生き残りと発展,そして九州半導体産業の地位向上に繋げていこうとする試みである。各々,大手デバイスメーカーからの受注,九州域内企業間および九州内外企業間の案件掘り起こし,そして九州(特に福岡県)への企業集積の促進などで,一定の成果を収めている。他方で,世界金融危機の影響や首都圏等に比した研究開発・設計拠点としての劣勢,台湾や韓国など東アジア地域との競合など,九州半導体業界を取り巻く状況は厳しいものがある。こうした現状に対応するために,九州地域内での連携の動きを進めると同時に,それと地域外,特に東アジアを中心とする海外市場との連携を密接に関わらせることの必要性が指摘される。
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